ずっと気になっていた本。期待以上に面白かったです!
辞書とことばに対する見方が完全に変わりました。
辞書作りは、まず「用例採集」から始まるそうですが、『三省堂国語辞典』初版から編纂にかかわった見坊豪紀さんは、生涯に145万語、1年に換算すると4万語を集めたとの記述に驚き!
私も翻訳者として自分用の用語集・対訳集をその1/100でも作らないと…。今はひとつの仕事が終わるごとに、気になった用語や新出の用語をエクセルに入力してますが、ひとつの仕事につき数語ずつ程度です…。
「カピバラ」や「キャバクラ」の語釈を書くために、実際に動物園やキャバクラに行ったというエピソードも、ひとつひとつの単語に対して「そこまでするんだ!」と、興味深かったです。
そして動物園での観察をふまえた力作の語釈に対して、他の編纂メンバーからのコメントが、「あまりにおもしろすぎるのではないか」とか。笑
言葉ひとつひとつに対して、あまりにも真心と時間と労力をかけていて、「あぁ、訳語を選ぶときも、そのようにすべきだな…」と。ついつい、自分が翻訳するときの姿勢を振り返ってしまいます。
辞書は毎日使っていますが、辞書の作り手の思いや、できるまでの過程を考えたことはありませんでした。
こんなにも価値のある、愛しい存在だったのかぁ~と、辞書に対して微笑みかける自分が…(こわい)。
ちょうど国語辞典を買いたいと思っていたのですが、たくさんある国語辞典の中から、どの国語辞典を選ぶべきかについても、「○○したい人向け」という観点で説明してくださっていたので、無事求めていたものを買うことができました!
◆ 心に残ったことば ◆
本当に必要なことばを集めるためには、まず、あらゆることばを「おもしろい」と思うこと。未知のことばはもちろん、当然知っていることばでも、改めて別の面から眺めてみて、価値を再発見する。そういう姿勢が不可欠です。
私は、辞書を編むという営みを通じて、ことばによる世界の模型が作りたいのです。
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